CASE 8 :犬のクリプトコッカス症もごくまれにきます

ラブラドールレトリーバー
2歳11ヶ月

左眼が赤い
1ヶ月経過して息が荒く後肢がフラつく
その後、右捻転斜頸、左眼瞼下垂や縮瞳、眼球陥没
発作も起こる


当初は左目の充血を主訴に来院した症例です。

目の充血を抑える点眼薬を処方して経過を見ていましたが、
1ヶ月後に多岐にわたる症状を呈するようになりました。

今回の難点は気性が荒く、検査がなかなかできない点でした。

どうしよう。。。。むむむ。と悩みながら、
飼い主と検査に関する相談・試験的治療を行っているうちに、
本人の怒る元気食欲も無くなってしまいました。

それからの検査では、リンパ節の腫れ(特に頚部)を認め、
X線検査では肺炎が疑われました。

そして、リンパ節の細胞診では、クリプトコッカスを疑う病原体
多数観察されました。

クリプトコッカス症は日和見感染ですが、
神経症状や肺病変を認めるまで状態が悪化しているため、
治療は点滴による抗真菌剤の投与を行うこととなりました。

また、再発しやすいため、長期的に抗真菌剤の投与を行っていきます。
(症状は少し改善しつつあります)

クリプトコッカス症は人獣共通感染症です。免疫力の低下したヒトにも感染する可能性があるため、
治療には手袋やマスクなどの感染予防対策も必要です。

今回は検査が遅れてしまい、後手後手となり反省です。